レポート
REPORT
2024/10/23
- バングラデシュ姉妹校
- SDGs教育
【バングラデシュ姉妹校】バングラデシュで起こった抗議運動について
郁文館が運営するバングラデシュ姉妹校NDMSC(ナラヤンクルドリームモデルスクールアンドカレッジ)の活動報告レポートです。
今回は、日本でも報道されたバングラデシュにおける抗議運動についてです。7月後半から、学生を中心に大規模な抗議活動が全国で展開されました。その内容は、大学生など高学歴層の就職難が続く中で、人気が高く安定した就職先である公務員の特別採用枠に反対する学生らの抗議が、次第に治安当局との大規模な衝突に発展したものです。
バングラデシュで行う公務員の特別採用枠とは、1971年のパキスタンからの独立戦争に従事した退役軍人の家族に対して設けられた制度です。
世論からの強い反発を受け、2018年に政府はこの特別枠を廃止する決定を下しました。しかしながら、今年6月にこの決定について高等裁判所が「違憲である」と判断したことで、学生らの抗議活動が活発化しました。多くの若者にとって、政府が下した特別枠廃止を覆す決定は、平等な機会を奪うものであるとの強い不満が背景にあるためです。
抗議活動は急速に広がり、多くの死傷者を伴う深刻な事態へと発展しました。これを受けて政府は外出禁止令を発動し、インターネットの利用を制限、そして全国の学校に休校命令が出されるなどの措置が取られました。本校でも一時的に教職員間の連絡が途絶える期間が生じ、生徒も学校に行きたくても登校できないなどの被害を受けることになりました。
8月に入り、抗議の矛先はシェイク・ハシナ首相および現政権の辞任要求へとエスカレートし、全国的な運動となりました。この結果、長年政権を維持してきたハシナ首相は辞任を余儀なくされ、国外脱出を決断しインドへ向かいました。続いて、軍部が暫定政府の樹立を宣言しました。
その後、ノーベル平和賞受賞者であり経済学者でもあるムハマド・ユヌス氏が、暫定政権の最高顧問に指名されました。
ユヌス氏は以前、郁文館の夢達人ライヴ* に登壇したことがあります。生徒たちに「Change the world. You can do it.(世界を変えなさい。あなたたちならできる。)」という言葉を残してくれました。ユヌス氏自身も、この混沌とした状況を変えるために国の再建に向けて主導する立場に就いています。
*夢達人ライヴ:毎年実施する、各業界の第一線で活躍する“達人”から仕事や人生観について学ぶ郁文館独自の講演会
ユヌス氏の指導のもと情勢は以前のような日常をとり戻し、国民も抗議活動の前と同じような生活に戻ることができました。
抗議運動中の先生たちの心境としては、
「今後どうなるか不安だった」
「何よりも生徒たちが心配で深い眠りにつけない日々が続いた」
と、今後の先行きが不透明な国の状況と生徒の身の安全について不安な日常が続いたと言っていました。
一方、生徒たちの心境は
「早く学校に行って友達と話したい」
「学校に行ける状況に戻ってほしい」
と、普段当たり前に学校に行ける状況について考える機会になったと言っていました。
現在は学校も再開し、本校でもようやく以前の楽しい日常が戻ってきました。
郁文館でも文化祭が実施されたように、バングラデシュの姉妹校でも今月末に文化祭が開催されます。生徒たちは年に1回の文化祭を本当に楽しみにしながら準備に励んでいます。
また、勉強面でも抗議運動での遅れを取り戻そうと生徒たちはいつも以上に懸命に勉強に向き合っています。
今後も姉妹校の教職員と緊密に連携を取りながら、生徒の安全と学びを最優先に学校運営に努めてまいります。
バングラデシュ姉妹校NDMSC担当者