レポート

REPORT

2019/08/09

  • 郁文館高等学校

郁文館高校2年生 PBLツアー(国内編)

探究を深化させる新行事「PBLツアー」が実施されました。

PBLツアー(Problem/Project Based Learningツアー)とは、修学旅行に代わって今年度から実施された新行事で、探究のための研修旅行です。

生徒は国内外合わせて8方面
(1夕張・東川 2美幌・知床 3陸前高田 4臼杵 5屋久島・口永良部島 6シンガポール 7台湾 8カンボジア)
から1方面を選択します。
どのコースもSDGsの目標と関連させてプログラムが組まれており、生徒たちはみな社会とのつながりの中で、自分たちの研究テーマを深めることができます。

高校1年次(今年の1月)より行き先を決め、その後半年近くの時間をかけて、グループごとにそれぞれの設定したテーマ・課題に基づいて事前学習を進めてきました。

知識を深め、問題意識と現地で学ぶことを明確にした上で臨んだPBLツアー。

目的とする学びが得られたグループもあれば、事前に調べていたこととは全く異なる現実に認識を改めさせられるグループもありました。しかし、どのグループにとっても「現実」から学ぶことは大きいものです。
ツアー後、今後の探究活動の道筋を改めて考え、それを語る姿は「現実」を見てきたという自信に満ちたものになっていました。今後の探究活動のさらなる深化が楽しみです。

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1 夕張・東川

北海道の夕張・東川コースのテーマは、「地方財政の未来を考える」。

財政破綻した市として有名な夕張市と地域振興で成果を上げている東川町を訪れ、現実を目の当たりにしました。夕張のひっそりとした街並みに息をのむ生徒たち、そのような中でも生き生きと働く人々の姿に心を打たれました。また、東川町の先進的な取り組みは、子どもたちの地方に対するイメージを大きく変えるものでした。

現地の人々との交流で得られた「生きた情報」は、子どもたちにとっての何よりの教材です。この研修を通して、子どもたちは日本の未来のあり方について探究を深めることができました。

〔主な行程〕

    6月3日(月)―第1日目―

     ○夕張ドキュメンタリーツアー:夕張の基本を学ぶための市内フィールドワーク

    6月4日(火)―第2日目―

     ○あ・りーさだの杜:障がいスポーツについての講義・体験

     ○夕張市役所:企画課の方による講演

     ○公設塾キセキノ:夕張市役所職員の方との座談会

    6月5日(水)―第3日目―

     ○夕張市内フィールドワーク:企業・団体訪問

     ○夕張高校学校交流

    6月6日(木)―第4日目―

     ○東川町内フィールドワーク

     ○東川町役場:各種政策に関する講演会

    6月7日(金)―最終目―

     ○東川町内フィールドワーク

     ○東川町長講義

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夕張市役所職員の方との座談会の様子

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水(東川町の主要産業)の工場見学

2 美幌・知床

北海道の美幌・知床コースのテーマは、

「ともに生きる~豊かな自然と生命を体感しともに生きるためそのあり方を考える~」。

豊かな生態系を誇る世界自然遺産の知床を始め、特別保護区の摩周湖や国立公園の屈斜路湖といった豊かな自然に触れ、私たちが守るべき自然を全身で感じ取ってきました。原風景の残る羅臼湖や透き通るような美しさの摩周湖では、子どもたちの歓声がわき起こりました。

理系の研究グループが多い美幌・知床コースでしたが、グループごとにカスタマイズされた大学での体験講義や知床でのフロラ調査などを通じて、探究的な学びも深めることができました。

  

  〔主な行程〕

    6月3日(月)―第1日目―

     ○摩周湖・屈斜路湖

     〇ワタミファーム美幌峠牧場:放牧酪農の見学

    6月4日(火)―第2日目―

     ○北海道美幌高校交流

     ◎東京農業大学オホーツクキャンパス

     ◎北見工業大学

     ◎クレードル食品工場

*◎で表記された行程は、研究テーマによって行き先が異なる(3日目も同様)。

    6月5日(水)―第3日目―

     ◎ワタミファーム美幌峠牧場:放牧酪農の体験

     ◎知床自然センター:フレペの滝周辺フロラ調査

    6月6日(木)―第4日目―

     ○羅臼湖トレッキング:原風景から豊かな自然を感じ取る

     ○知床エゾシカファーム

    6月7日(金)―最終目―

     ○知床観光船おーろら:海上から知床の自然を感じ取る

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フレペの滝周辺フロラ調査の様子

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ワタミファーム 仔牛とのふれあい 

3 陸前高田 

  岩手県の陸前高田コースのテーマは、「震災復興から学ぶ」。

東日本大震災で津波被害を受け、奇跡の一本松で有名となった陸前高田。先の見えない復興活動の中、明るく懸命に生きる人々との交流を通して、震災復興と地域振興について学びました。現地到着時3%であった復興レベルが、PBLツアー中に4%と表示されたことに、子どもたちはみな少しずつしかし確実に復興に向かう陸前高田の力強さを感じました。

現地で様々な情報を収集した後は、グループごとに震災復興のためのアイディアを考え、地域や企業の方に発表しました。現実を見つめ、社会とのつながりを意識して活動することで、学校内では得られない貴重な学びが得られました。

  

  〔主な行程〕

    6月3日(月)―第1日目―

     ○一般社団法人 マルゴト陸前高田:復興最前線ツアー

     〇陸前高田市役所:市長による講演会

    6月4日(火)―第2日目―

     ○班別研修

     ○高田高校学校交流

     ○夢アリーナたかた:民泊ホストファミリーとの対面 *民泊:2泊

    6月5日(水)―第3日目―

     ○民泊家庭での生活

    6月6日(木)―第4日目―

     ○認定NPO法人 桜ライン311:草刈り作業ボランティア

     ○二又復興交流センター:地域住民との座談会

    6月7日(金)―最終目―

     ○二又復興交流センター:ビジネスプランプレゼンテーション

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企業社長へのプレゼンテーション

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草刈り作業ボランティア

4 臼杵

  大分県の臼杵コースのテーマは、「地域活性化に必要な思考プロセスと『6次産業化』視点の重要性を知る」。1次産業、2次産業、3次産業を一連のプロセスの中で組み合わせる6次産業。その視点を生かして地域活性に努める臼杵の町づくりから地域活性化の在り方について学びました。東京に住んでいると馴染みのない臼杵という町ですが、実際に行くことで様々な魅力を発見できました。

最終日には、高校生の視点による地域活性化のための方策を臼杵の市長さんに対して発表しました。活動の様子が地元の新聞にも取り上げられ、子どもたちも自分たちの学びが社会とつながっていることを実感できました。

  

  〔主な行程〕

    6月4日(火)―第1日目―

     ○土づくりセンター

     〇ワタミファーム:リーフレタス苗定植

     〇農泊体験

    6月5日(水)―第2日目―

     ○農泊体験プログラム

     ○ワタミファーム&エナジー株式会社:林業体験

    6月6日(木)―第3日目―

     ○臼杵市役所

     ○臼杵石仏

    6月7日(金)―第4日目―

     ○臼杵市内フィールドワーク

     ○臼杵市観光交流プラザ:プレゼン準備・リハーサル

    6月8日(土)―最終目―

     ○臼杵市役所:市長に対するプレゼンテーション・ディスカッション

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臼杵市長とのディスカッション

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臼杵石仏

5 屋久島・口永良部島

鹿児島県の屋久島・口永良部島コースのテーマは、「海と陸の現在・未来についてグローバルな視点で考える」。

美しい海と手つかずの原生林を擁する世界自然遺産の屋久島と屋久島国立公園の一角をなす口永良部島を舞台として、ヤクスギやウミガメを身近に感じつつ自然の探究活動に取り組みました。口永良部島では丸1日の班別研究を行い、豊かな自然の中で探究を存分に深めることができました。

東京では手に入らないサンプルを研究できた生徒、美しい自然の中に新しい問題意識を発見できた生徒とそれぞれに有意義な経験となりました。

  

  〔主な行程〕

    6月3日(月)―第1日目―

     ○屋久島高校学校交流

    6月4日(火)―第2日目―

     ○口永良部島:探究活動体験プログラム

(温泉の成分研究/植生調査/砂浜における生物多様性評価)

    6月5日(水)―第3日目―

     ○口永良部島:班別探究活動

    6月6日(木)―第4日目―

     ○屋久島環境文化研修センター:屋久島の概要講義

     ○ヤクスギランド

    6月7日(金)―最終目―

     ○西部林道

     ○大川の滝

     ○屋久島うみがめ館

     ○鹿児島大学植物園・博物館

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土壌サンプル採取の様子

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標識調査用ウミガメ放流の様子